風が育む「砂」の賜物
見渡す限り、一面に広がる砂。
ある時は豪快に、またある時は穏やかにその表情を変える。
表情豊かな日本最大級の鳥取砂丘
見渡す限り、一面に広がる砂。ある時は豪快に、またある時は穏やかにその表情を変える。
鳥取砂丘では、高低差が90mにもなるダイナミックな起伏をキャンバスに、さざ波模様の「風紋」をはじめ、砂がスダレ状に滑り落ちる「砂簾」や砂が高く隆起する「砂柱」など、目には見えない風の姿が描かれている。砂のキャンバスに足跡を残しながら「馬の背」と呼ばれる巨大な砂の壁を登り詰めると、日本海を超えて辿り着いたばかりの風を感じることができる。
古事記「因幡の白兎」で有名な鳥取砂丘西端の白兎海岸
鳥取砂丘は、中国山地から流れ出た岩石が川の流れにより砕かれ、砂となって海へと運ばれた後、長い年月をかけて風の吹き返しにより大砂丘へと成長を遂げたものである。
その西端にある「不増不減の池」は、季節を問わず水の量が一定に保たれ、古事記に登場する因幡の白兎が体を洗ったとされる。
潟湖に育まれた人々の暮らし
荒波が運ぶ砂は鳥取砂丘を創り出すだけでなく、海に砂が帯状となって伸び出す砂州を成長させ、波静かな数多くの潟湖を人々に与えた。
約2,000年前の弥生人たちは、潟湖を港として利用した青谷上寺地遺跡の地に、中国大陸や日本列島各地との交易を行った証を大量に残しており、当時の技術や芸術性の高さを今に伝えている。
こうした大地の営みを一つの遺産として、人々は砂の彫刻「砂像」で新たな造形美を創り出すなど、砂の魅力を自らの手で進化させている。
「砂」に関する構成文化財
- ①鳥取砂丘
- 中国山地から流れ出た岩石が、川の流れにより砕かれ砂となり、風の吹き返しによって海に寄せ集められ形成された日本最大級の海岸砂丘。
起伏の大きさによる雄大な景観を特徴とし、目に見えない風の姿を「風紋」や「砂簾」、「砂柱」などの多様な造形を通してみることができる。 - もっと見る
- ②白兎神社樹叢
- 神話「因幡の白兎」で知られる白兎神社の樹叢(じゅそう)。白兎が身体を洗ったとされる不増不減の池は、鳥取砂丘の西端にあり、岩盤と砂丘の境界にあるため、季節を問わず水量が一定で、砂丘形成の歴史を示す証となっている。
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- ③青谷上寺地遺跡
- 精巧な木製品をはじめ、多種多様な遺物が非常に良好な保存状態で出土した「地下の弥生博物館」として知られ、潟湖を利用した人々の暮らしを知ることができる。古代の日本海側の交易の拠点と考えられている。
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- ④桂見遺跡出土 縄文時代遺物一括
- この地域の人々が、砂が堆積し海岸部に形成される潟湖を利用した生活を古くから営んでいたことを示す丸木舟や櫂などの遺物。
丸木船は鳥取県立博物館に展示されている。 - もっと見る
- ⑤新温泉町浜坂味原川地区
- 川が運ぶ土砂が波や海流により運ばれ、堆積した砂州の上に形成された町並み。周辺より高く、水はけが良いため、軟弱な地盤や水害に耐えるよう積み上げた石垣の上に、明治初期の商家や高瀬舟の船着き場、船荷の上げ下ろしを行った階段等が残る。
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- ⑥鳥取砂丘 砂の美術館
- 世界初の砂の彫刻「砂像」を展示する美術館。毎年テーマを変え、世界トップレベルの彫刻家による作品を展示している。
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- ①鳥取砂丘
- ②白兎神社樹叢
- ③青谷上寺地遺跡
- ⑤新温泉町浜坂味原川地区
- ⑥鳥取砂丘 砂の美術館